三重サテライト通信

「外国人住民が安心して暮らし働ける地域づくり検討会」のご報告

12月25日(月)10:00から12:00頃まで、三重県四日市市にある地場産業振興センターにて、三重県、四日市市、東京大学三重サテライトの関係者が集まり、「外国人住民が安心して暮らし働ける地域づくり検討会」を開催しました。三重県様にコーディネートしていただき、四日市市様に会場をご用意していただきました。当日は、

(※以下、順不同、敬称略)
三重県 人口減少対策課課長
三重県 ダイバーシティ社会推進課副課長兼班長
三重県 障がい者雇用・就労促進課課長
三重県 政策企画総務課課長
三重県 企画課課長
四日市市 政策推進課課長(※当日は副参事が代理出席)
四日市市 商業労政課課長
四日市市 工業振興課課長
四日市市 市民生活課多文化共生推進室室長

以上の自治体の方々と土田特任助教が出席しました。

この検討会では、人口減少や人手不足といった課題の解決に向けて、特に、外国籍の住民が安心して暮らし働くことのできる地域づくりを目指し、自治体と大学それぞれの立場から意見や情報を交換し合い、官学連携で具体的な取り組み・企画を立案することを目的としています。

当日は、まず、三重県、四日市市の順で、各課・室より、外国人人口に関する統計や現在取り組んでいる施策(日本語教育、就労支援、多文化共生推進プランなど)について情報を提供し、課題に対する認識を共有しました。その後、それらをもとに、土田特任助教が三重県、四日市市の現状と国際・国内的な動向を踏まえ、見解を述べました。最後は、外国にルーツを持つ子ども(特に日系ブラジル人など)、留学生(日本語学校の学生を含む)、外国人労働者に対する施策、地域社会の在り方など多角的に、全体でディスカッションを行いました。今回は、初回ということもあり、焦点を絞らず、幅広く議論することを重視しました。

土田特任助教は、特に、①実態調査と②パイロット事業を行うことを提案しました。これらは、急激な社会変容を回避しつつ、確実な人材確保に向け、実態に即し、慎重かつ迅速に政策立案を行うために必要と考えます。

①は、特に、外国にルーツを持つ子ども、留学生、外国人労働者(特に、いわゆる就労ビザを持つ者)を対象に、進学先、就労先として「なぜ三重県を選んだのか(あるいは、選ばないのか)」などを把握するために行います。これらは、外国籍者にとっての三重県の魅力を可視化し、今後、他の地域との差異化を図りながら政策立案を進めるために必要と思われます。

②は、とりわけ労働力確保に向け、企業(特に、中小企業)に協力を仰ぎ、3か年ほどのパイロットケースとして、外国にルーツを持つ子どもや留学生を対象としたインターンシップ事業を行い、(人数を限定しつつも)受け入れ企業にインターン生を採用してもらい、その結果を検証するというものです。それによって明らかになった課題から、雇用する側、雇用される側の真のニーズをくみ取り、施策に反映していくことが大切です。

加えて、三重県内では国籍に関わらず単独世帯が増加していること、また、外国籍者については、留学生や外国人労働者(家族帯同可能な在留資格を持つ者を除く)など、単身者が過半数を占めることなどを踏まえ、地域での包摂の在り方を再検討する必要性も示唆しました。この点に関しては、今年度、四日市市からの委託研究で行っている、外国籍者の社会参加に関する調査結果も活かせるかもしれません。

次回は、3月下旬頃に開催し、各課での検討結果について共有していただき、引き続き、議論を重ねる予定です。

おかげさまで、出席者それぞれの立場から率直に意見を交換し合う有意義な会となりました。

日本国籍者の人口減少と外国籍者の人口増加にいかに対処するかは、今や、地域社会、ひいては日本全体における喫緊の課題です。この課題解決に向け、微力ではありますが、今後もできる限り、ご協力させていただきたいと思っております。引き続き、どうかよろしくお願いいたします。