参画教員紹介 近藤 武夫 教授(東京大学先端科学技術研究センター)
近藤 武夫 教授
東京大学先端科学技術研究センター
◆研究活動概要
高等教育段階で障害のある学生を支える基盤づくりのために、大学向けの専門相談の実施や専門研修の開発と実施、各地で企業・行政・大学の連携を支援するタウンミーティング開催などを展開するプラットフォーム(PHED)を運営したり、ハワイ・環太平洋エリアやASEANエリアの参加者とともに、「アジア環太平洋・障害と雇用・キャリアのインクルージョンに関する国際シンポジウム(IDIS)」を開催したり、日本の教科書をすべてデジタル化してアクセシブルにするという全国規模のプロジェクトの拠点を担ったり(AEMC)、学習障害や日本語に通じないなど読み書きが困難な児童生徒向けに、教科書をアクセシブルなデジタルブックとして学校や当事者向けに無償配信するオンライン図書館(AccessReading)などのプロジェクトを進めています。
そのうち、特に地域と連携しているものが「超短時間雇用モデル」の地域実装の取り組みです。障害、難病や疾患(高齢者を含む)、引きこもり、生活困窮など、様々な理由から「週数時間だけ働きたい」という方々がおられます。障害者雇用率制度という既存の制度的な枠組みもありますが、そうした施策にフィットせず、雇用・労働によって社会参加を支援する制度の枠組みに参加できない状態になっている方がおられます。そこで、週にごく短い時間で、一般の企業や商店で、担う内容がはっきりした職務で働ける地域モデルをつくりました。基礎自治体にアウトリーチ型の「超短時間雇用センター」を置き、そこに配置しているコーディネーターが地域の企業や工業団体、商店街と連携して個々の企業と交流し、週数時間程度の「この仕事をやってくれたら、私達の職場がこんなふうに助かるのではないか、こんな価値が生まれるのではないか」というような価値ある仕事をつくります。そして、働きたいけれどこれまでの労働スタイルでは働く機会を得られてこなかった人を発掘してそこに巻き込み、その人の強みの部分だけを見て、新たに生まれた仕事に積極的にマッチングします。そのためにも、自治体と連携して、障害支援だけではなく、経済産業振興、困窮者支援、広報部門などの異なる部局が連携した仕組みをつくっていただき、役場の担当者と共に地域の工業団体や商店街などへ働きかけ、雇用主を発掘します。また、既存の福祉サービス等事業者へも事例を紹介し、モデルへの理解を深めていただきます。これまで7つの自治体(川崎市、神戸市、岐阜市など)で実施してきた成果は、近年の関連法の改正にもつながっていると考えています。
◆関連URL
「超短時間雇用モデル」https://ideap.org/project/job/