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しまなみテクノロジー市民大学講座第9回「~地域を豊かにする、次世代サイバーインフラ活用術~しまなみの未来について東京大学の先生と語らおう!」のご報告

お知らせ2023/12/19

2023年12月19日(火)13:30~15:30に、愛媛県今治市にあります、村上三島記念館多目的ホールにて、しまなみテクノロジー市民大学講座第9回「~地域を豊かにする、次世代サイバーインフラ活用術~しまなみの未来について東京大学の先生と語らおう!」がハイブリッド形式(対面・オンライン同時)で開催されました。

しまなみテクノロジー市民大学講座とは、2023年5月29日に、愛媛県今治市、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)、東京大学大学院工学系研究科・工学部の3者が協定を締結し、大三島を舞台に展開しているテクノロジーと臨床知の学び合いをテーマとした「しまなみ学び・交流の場」事業の一環として行っているものです(詳細は、こちら)。

当日は、地域未来社会連携研究機構の坂田一郎機構長、次世代サイバーインフラ連携研究機構長の中尾彰宏教授が登壇し、第一部で講演を行い、第二部では今治市長の徳永繁樹氏、日本IBMの柴田祐一郎氏(IBMコンサルティング事業本部 事業統括担当 常務執行役員)とともに、大三島の中学生、保護者、地域の方々と意見交換しました。

講座では、今治市長の徳永繁樹氏による挨拶、日本IBMの柴田順子氏(IBMコンサルティング事業本部 リサーチ・インスティテュート・シニアマネージングコンサルタント)によるしまなみテクノロジー市民大学講座の説明の後、第一部では、最初に、坂田一郎機構長が「地域の知とデジタルの融合による地方創生―関西圏の大規模な交通データの事例を中心に―」をテーマに講演しました。坂田一郎機構長は、まず、中高生やPTAの方々も参加できる「メタバース工学部」やアントレプレナーシップ教育デザイン寄付講座といった、東京大学が行っている産学共同型の「新しい工学教育」の取り組みを紹介しました。
また、具体的な研究例として、関西の交通・移動の匿名のデータを用いると、直接的な人々の行動様式だけでなく、労働時間の予測、余暇行動の推定、駅の特徴づけ、イベントの検知など、間接的な事象も推定することができるようになることを説明しました。そして、交通のデジタルデータは、今後、商業利用だけなく、「地域の知」として、「災害時のレジリエンス」など幅広く社会的な価値に貢献し得るものであり、デジタルデータは、より良い社会を構想していくことに役立つとお話ししました。クイズ形式で、交通データから男女・年齢による人間関係の密度を考えたときは、中学生の皆さんがとても楽しそうに参加してくれました。

次に、中尾彰宏教授が「しまなみの未来を豊かにする情報通信の進化」をテーマに講演しました。中尾彰宏教授は、大規模な通信障害が社会経済活動に大きな支障をきたしたことから、社会経済活動や生命の維持のために、未来社会を根底から支える「人類のライフライン(生命線)の研究開発」に取り組んでいることを、様々な研究プロジェクトを紹介しながら説明しました。情報通信の進化に伴い、地域や産業の個別のニーズに応じた通信である、安全・安心な「いまだけここだけあなただけの通信」の確立が期待できることをお話しました。そして、地域創生に向けて、富士山や今治市で行っている陸・海・空すべてを繋ぐ無線通信の実験をもとに、通信技術がどのようにして身近な地域課題を解決し得るのかを紹介しました。中学生の皆さんは、実験の動画を食い入るように見て、一生懸命にメモを取っていました。特に「誰も描いたことのない餅を描く」という中尾彰宏教授からのメッセージは心に響いたようです。

意見交換会では、会場・オンライン双方からたくさんの挙手があり、「お金を節約するためのデータの活用法は何ですか?」、「スマホが5Gから6Gになったら機能面でどのような変化がありますか?」、「これまで描いた餅の中でうまく描けたものは何ですか?」など、中学生を中心に様々な観点から質問が出されました。

また、意見交換会の最中には、中尾彰宏教授の研究室スタッフが整備した通信環境を利用し、ステージ上に配置した遠隔操作ロボットを介して、ロボット操作者、登壇者、参加者でコミュニケーションをとるという実験も行われ、参加者の方々にテクノロジーを実感していただきました。

当日の様子などは、今治市のYouTubeチャンネルでも紹介されています。

おかげさまで、中学生を中心に市民の方々と交流しながら、最先端のテクノロジーをもとに地域の未来を考える素晴らしい時間となりました。
当日の参加者、講座を企画・運営していただいた今治市の皆様に心より御礼申し上げます。

2024年9月には、今治市の方々にご協力いただきながら、今治市でフィールドワークの授業を実施する予定です。
今後も地域との連携を大切にしながら研究・教育を進めて参りますので、よろしくお願いいたします。